ICTの積極的な活用を支援します

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   一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 メルマガ (第3号)
      http://www.ictm-p.jp/            2014/3/20
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  【目 次】
 
1.会長コラム 『超高速開発への積極的な取り組みを!』

2.特集記事  『ビジネスプロセスをどう実装するのか』

3.分科会関連のニュース・お知らせ

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【会長コラム】『 超高速開発への積極的な取り組みを! 』
                    ICT経営パートナーズ協会
                       会長 関隆明

皆様ご存知の通り、我が国における情報システム開発上の大きな問題点
として、
  「経営目標と開発された情報システムとの不整合」と
  「ウオーターフォール型開発偏重から来る開発スピードの遅さ」
が指摘されて居ります。
多くのユーザー企業の皆さんからも、
  「古くなったレガシーシステムを変えたいが、昔のように大勢のSEを
   動員した開発はとても出来ない。」
  「当然クラウドの活用を検討しているが、自社の基幹業務に合った
   アプリケーション・パッケージが見つからない。」
などと言う声を良く聞きます。
更に今、国を挙げてイノベーションの創出が叫ばれて居り、新しい経営の
やり方や新しいビジネスモデルの開発に真剣に取り組んで居られる企業も
大変多くなってきました。然しこれら企業の個性に富んだ要求を満たせる
既存ソフトは先ず考えられないと思います。この様な状況下で今注目を
浴びているのが、超高速開発メソッド/ツールです。

単なるプログラムの自動生成だけにとどまらず、上流の要件定義、
業務デザインから運用・保守も含めたシステムライフサイクル全般にわたる
生産性向上と継続的品質改善が出来るものです。複雑な経営を支える
情報システムを一度で完璧なものに作り上げることは大変難しいことです。
新製品開発と同様、やはりプロトタイピングや小さいシステムから始め、
実践を通して経営要求を柔らかく、スピーデイに吸収して行くのが実践的
だと思います。

昨年当協会の「超高速開発分科会」と「超高速開発メソッド・ツールの
ベンダー」10数社が協力し、「超高速開発コミュニテイ」を発足しました。
このコミュニテイはメソッド/ツールや支援を提供する側だけではなく、受け
る側のユーザー企業は勿論、経営コンサルタントやITコーデイネータ、士資格
者の専門家、SIerの方々が大勢参加するコミュニテイを目指しており、既に
セミナーや各種啓蒙活動を積極的に行っています。

今後当メルマガでもそれらの活動内容のお知らせやセミナー、研修などへの
御案内をして行きたいと思います。
皆様の活動へのご参加をお待ちしています。
               
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【特集記事】
 『ビジネスプロセスをどう実装するのか』

            ICT経営パートナーズ協会 理事
     株式会社ワディットITコンサルタント、日本BPM協会運営幹事 
                 和田 正則

前号で渡辺和宣さんのほうからビジネスプロセスについての概説がありま
したが、今号では実際にITへ実装するにはどうしたらよいかというテーマ
になります。よい戦略を立てても、画期的なビジネスモデルを描いたとし
ても、あるいはプロセスを見える化しても日常のオペレーションの場で
実行して成果をあげないことには意味がありません。従って、上流から
落ちてくるビジネス要求をどのようにして受けてコントロールしていく
仕組みを作るかが非常に重要になります。こうした課題をどう解決して
いくのかを考えていきます。

■ WhatはHowに優先する
実装というとすぐにどうやるかというHowに行ってしまいがちですが、
いくら腕の立つ大工さんでも家の設計がひどかったらいいものができない
のと一緒で、どんな構造のものを作るのかをきちんと設計してから実装
する必要があります。

やり方としては、渡辺さんから提示されたたように階層化されたプロセス
を詳細化しながら下位分解してIT化へと進んでいきますが、参照モデル
から降りてくるだけだとどうしても実際の業務とのずれが生じる場合も
ありますので、AsIsから遡るボトムアップ的なアプローチを併用します。
つまり参照モデルからのトップダウンと実情に即したボトムアップの両方
から攻めるハイブリッドアプローチが現実解だと考えています。
ということでボトムアップアプローチにおける実装へ持っていくための
プロセス構造のところから入って行きます。

■ プロセスの構造
前号でも触れているのでそれを参考にしてほしいのですが、大きく分類
すると定型的・IT系・作業プロセスと非定型的・人間系・意思決定プロセス
に分けることができます。つまり、決まりきった手順で仕事を進める
プロセスでIT化すなわち自動化しやすいものと、いつも決まっているわけ
ではなく人間が介在し意思決定を連鎖させて仕事を進めていくようなもの
です。もちろん、実際の現場ではどちらか一方ということはなく混在して
いますし、相互で連携する入れ子構造になっていることが多いでしょう。

ところで従来のIT化の対象は前者の定型的な作業プロセスが中心でした。
ERPに代表されるようなバックヤードシステムでは作業プロセス的なものが
大半です。しかしながら、ビジネスの形態もだいぶ変化してきて、特に
顧客接点のところのシステム化が重要視されるようになりました。
そうなると、顧客は画一的ではありませんから必然的に非定型的で人間の
判断が必要なプロセスが対象となってきます。従来のITがあまり得意では
ない領域と言えます。筆者に寄せられるIT化の要望で最近多いのは、顧客
要求に対して迅速にかつ的確に応える仕組みが欲しいというものです。
省力化とか効率化といったことではなくなってきています。

ビジネスプロセスの実行形は、マクロで見ると、「依頼受付→要求仕様
確定→意思決定→作業→報告・登録」という構造になります。その中で、
意思決定プロセスが主なのか、作業プロセスが主なのかに分かれるわけ
ですが、ここではデータを確定するとか判断を下すといったフローが
主体の意思決定プロセスを対象としていきます。意思決定単位をミクロ
で見ると、「情報収集→代替案の探索・評価→代替案の選択」という
サイモンの意思決定プロセスから成っています。
このようにマクロとミクロの2段プロセス構造が基本です。

■ オペレーション発想のシステム要件
ITシステムは使われなくては意味がありませんし、役に立ってこそ価値
があります。そのためには、オペレーションでどう使っていくのかという
発想でプロセス設計をすることが大事になってきます。では、使って
もらえる、役に立つシステムに求められる要件は何でしょうか。
次のようなものがあげられます。

(1)  ビジネス活動(プロセス)の進捗がわかること
(2)  意思決定(データ確定、判断)に必要な参照情報が得られること
(3)  コミュニケーションをしながら意思決定が行えること
(4)  プロセス全体と単位意思決定の責任者が明確になっていること
(5)  パフォーマンスの状況がわかり対応アクションがとれること
(6)  オペレーションの結果がアーカイブされて、次に生かされること
 
■ 実装プロセス設計
システム要件を満たすために必要なプロセス構成要素を定義して
「プロセス要素表」に記述することが実装プロセス設計の肝となります。
これは渡辺さんの技法でいう「プロセス詳細記述書」に対応づけられる
ものになります。プロセス要素表は縦軸にアクティビティの順序、横軸に
各アクティビティが具備すべき要素項目を書いたマトリクス表です。

プロセス要素は、確定データ・判断、付帯登録情報、参照情報、業務ルール、
ロール、パフォーマンス指標などです。参照情報には、事実情報、
判断情報、制約情報があります。ロールは、プロセス全体と単位意思決定
の責任者を決めておくことが大切です。パフォーマンス指標は上流の検討
で出てきたKPIと整合させます。

これで設計が終わります。こんな簡単なもので大丈夫なのかと心配される
かもしれませんが、意思決定プロセスにおいては、厳格に定義することは
難しいので、とりあえず決めておいて、すぐに直し進化させていけばよい
という取り組みを推奨しています。Web2.0で提唱された“永遠のベータ版”
のイメージに近いやり方になります。

■ 実装
さて、プロセス設計が終わると実装になるわけですが、かなり“緩く”設計
されたものをコードを書いて開発するというのは無理があります。また、
BPMNで記述してBPMSに実装するというやりかたは、定型・作業プロセスには
有効ですが、あいまいさが残る意思決定プロセスでは分岐の嵐になること
などからお勧めできません。ただ、最近のBPMSはかなり機能も充実してきて
いますので、適用できないことはありませんが、まだ高価であることや
ユーザが理解しづらいことなどから慎重にならざるを得ないと思っています。

ということで、コードを書かないのなら、どんなソフトウエアやパッケージ
を持ってくればよいのかになります。もう一度システム要件を振り返って
ください。必要な情報を参照し、関係者とのコミュニケーションを図りながら、
決められた人が責任をもってデータを確定・登録でき、その進捗がわかる
という“場”をもったソフトウエアであればよいことになります。
筆者はサイボウズ社の「kintone」というWebデータベース型のアプリ
ケーション構築ソフトを使っています。

「kintone」はクラウドで提供されていて非常に安価で手軽に利用できます。
基本的にはデータベースですが、すでに用意されたパーツを組み合わせて
登録するだけでフォーム(データ登録画面)ができてしまいます。登録
されたデータの一覧表との組み合わせでアプリケーションが作られます。
しかも、リンクや添付、ワークフロー、メール通知、SNSなどの機能も付加
されていますので、ほぼシステム要件を満足させることができます。
実装はプロセス要素表に定義した通りに配置していくイメージです。
しかも、すぐに動かことができます。

こうして簡単にアプリ開発ができるということはユーザ自身でもシステム
構築ができることを意味します。従って、作りながら動かしてみて追加・
修正しながら組み上げていくというプロトタイピング開発が可能になるの
です。当然ユーザが納得いく仕組みにしてから使い出しますから、役に立た
ないシステムを開発してしまうことはなくなるわけです。

今回はここまでですが、実はもっと大事なことはオペレーションという
ことです。冒頭にも申し上げましたが、プロセスがビジネス要求を受けて
それをオペレーションして成果を出さなければ意味がありません。従って、
日々のオペレーションの中で、動きをモニタリングして、コントールして
いくこと、その結果から継続的なプロセス改善・改革につなげていくことが
プロセス管理の要諦であることをしっかりと認識したいものです。

 

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【分科会関連のニュース・お知らせ】

 

★超高速開発分科会から設立した「超高速開発コミュニティ」からの
 情報です。

  ●活動の状況
  超高速開発コミュニティの会員が3月18日現在、110社・名を超えて
  います。ユーザー企業の会員も増加しており、超高速開発への関心の
  高まりを感じています。
   超高速開発とは何か?といったことに関して、本質的な議論は今後
  深まっていくと思われますが、JUAS様、SIA(NPO法人 システム
  イニシティブ協会)様などのユーザー団体の方々及びITC(ITコーディ
  ネータ協会)千葉ネットワークやITベンダー団体の方々ともコミュニケー
  ションをとりながら、各種疑問に答える中で、本当の価値を広めて
  いく活動をしています。ITC茨城、ITC埼玉、東京IT経営センターなど
    との連携も働き掛け中。これからも、多くの団体・企業の方々との
  つながりを広めていきたいと考えています。

  ●セミナー情報:自治体業務システムの開発運用への適用
   4月11日 (金)
    「ベンダーロックインから逃れろ!
             超高速開発ツールによる自治体業務システム適用」

  システムの開発と運用サービスを提供する企業には刺激的なタイトルすが、
  ユーザー企業にはIT導入の選択肢を増やし、またITベンダーには自社の
  ビジネスモデルを考えるうえで、きっと有用な情報が入手できると思い
  ますので、奮ってお申込みください。

    ★「超高速開発コミュニティ」のセミナー詳細情報、お申し込みは
       こちらから ⇒ https://www.x-rad.jp/

    ★超高速開発コミュニティにぜひご入会ください。
   入会のメリット、ご入会はこちらから
        ⇒ https://www.x-rad.jp/registration/admission/


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