ICTの積極的な活用を支援します

 

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一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 メルマガ (第84号)

    http://www.ictm-p.jp/

                          2020/12/16

 

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【目 次】

 

1.巻頭コラム 『アトキンソン氏の中小企業再編論は有効か 』

 

            社)クラウドサービス推進機構 理事長:松島 桂樹

                            

 

2.ニュース・お知らせ

 

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  巻頭コラム 『アトキンソン氏の中小企業再編論は有効か 』

 

            社)クラウドサービス推進機構 理事長:松島 桂樹

 

 

   12月1日に開催された政府の「成長戦略会議」において、菅政権の成長戦略の実行計

  画が公表された。中小企業政策として、「合併等により中小企業の規模を拡大し、生

  産性を引き上げていくことは重要である。」として、再編を促している。

 

  しかし、この会議の民間議員である小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン

  氏の中小企業再編論は様々な議論を呼んでいる。人口減少が続けばGDPの低下は避けら

  れないので、生産性向上、とりわけ中小企業の労働生産性向上を図らなければならな

  い。事業を継続する意欲を持たない、いわゆるゾンビ的企業を資金支援することが延

  命を手助けし、生産性低下の大きな要因となっている。早く退出させるべきだ、と述

  べる。

 

  もちろん、申請企業を、厳格に調査し審査するためには多くの工数と期間が必要であ

 り、迅速性を重視すれば悪意の企業が混入することは避けられない。もはや会社から

 の情報に頼るのではなく、財務状況、取引データなどを常に収集し、AIを駆使して分

 析する、ガンの部位を正確に探し当て、抗がん剤を投与するように、本当に支援が必

   要な企業に資金投与する。まさにシステム開発におけるアジャイル手法を応用して、

  小さく実施し、その結果を見て短かいサイクルで改善を図るように 、少額から迅速に

  助成し、成果に応じて追加の補助をすることで、集中的、効果的な援助が容易になる。

  これこそデジタル化による解決である。

 

 アトキンソン氏は、規模が小さいために、人材や財源が不足し、IT投資も遅れ、さら

 に低賃金となっているので、統合による規模拡大を図り、最低賃金のアップする、そ

 れができない企業には退出を促し、その労働力を中規模企業に振り向けることで、労

 働流動性につながると述べる。しかし、この処方箋に、ほとんどの中小企業関係者は

 同意しない。

 

 第1に、中小企業の中には、小規模であっても高い利益率を確保している企業は少な

 くない。むしろ経営モデルが問題なのである。99.7%の企業が中小企業、75%の勤労

 者が中小企業に勤務している現状を見れば、中小企業だけの問題ではなく、日本の産

 業構造の課題である。大企業の生産性には、中小企業の不断の努力と犠牲が含まれて

 おり、手形など世界にもまれな60日、さらに120日という長期的な支払いを許容する

 商慣習が大企業の収益性を高め、中小企業の財務基盤を弱体化させている。電子イン

 ボイスによる即日支払いこそ、中小企業の生産性向上への重要な一歩である。

 

 第2に、近年のクラウドサービスではIT環境の整備はもはや先行投資ではなく、月数

 千円、さらに無料のサービスからも試行できる。身の丈にあったIT化が現実化してい

 る現在、その大きな阻害要因は、リベートなどの発注企業の不合理な商習慣、複雑な

 税制、規制などであって、IT投資余力の有無ではない。

 

 第3に最低賃金を上げることで、社員の意欲を高め企業業績向上が期待できるという。

 しかし、それは少なくとも半年から数年先であり不確実である。短期的には資金は確

 実に流出し、人件費増加による経営圧迫は避けられない。それらを同列に論じること

 は合理的ではない。

 

 第4に最大の処方箋として企業統合を推奨する。確かに事業承継が困難な中小企業が

 他の企業の支援を受けることで、雇用や技術を維持できるかもしれない。しかし規模

 が異なる企業の統合は、異なる企業文化、異なる社内システムの統合に伴うコストや

 あつれきが極めて大きい。中小企業への十分なデユーデリジェンス(企業査定)は行

 われず、事前準備、社内了解も不十分であろう。統合の意義は、1+1が2を上回る

 ことにあるが、それが達成できなければ、資源を切り捨てることも避けられない。統

 合後の経営モデルを描くための伴走的な支援こそ不可欠である。

 

 第5に、中小企業の再編を促し、出来ない企業の退出を促すという考えは、利益をあ

 げる優れた企業だけ残せばよい、とも聞こえる。とりわけ、ほとんどが中小企業とい

 う地方自治体にあっては、雇用の受け皿であるばかりか、地域社会の重要な担い手で

 もある。郊外への大手小売業の進出によって、シャッター街になった駅前商店街の治

 安が悪化したように、この考え方は地方都市を確実に疲弊させてしまう。切り捨てで

 はなく、中小企業への粘り強い支援こそ私たちがとるべき施策である。

 

 むろん、彼は疑いなく優れた経営者である。しかし名選手、必ずしも名コーチ、名監

 督でないように、名経営者の手法がどの企業にも当てはまるわけではない。中小企業

 の支援機関、支援者の協力なしに、彼の処方箋は一歩たりとも進まない。

 新型コロナは、中小企業にとっては大きな災禍であるが、経営を変える機会でもある。

 当然ながら、私たちがすべきことは、一社でも成長路線に乗せるべく、何より中小企

 業自身が気付き、企業同士が相互に学び合い、経営者の意思決定、変革の行動へ背中

 を押す、まさに菅総理が語る「自助」「共助」、そして「公助」、の場作りではない

 だろうか。

 

  注)成長戦略会議

     https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/

 

                                    以上

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【ニュース・お知らせ】

 

●日経クロステック記事のご紹介:「製造業DXの実態」

                 生産革新フォーラム研究会主催座談会

  Excelが便利すぎて部門同士が連携せずDXが進まない

 

  参加者には大企業の人が多いので、日本の大企業の生々しい実態があふれた記事に

  なっています、ご参照ください

 

  https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04877/index.html

  https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04879

 

 

●【ローコード開発ツールがLiveで保守するイベント 開催結果】

 

  11月27日(金)に、160名を超える視聴者にご参加いただき、

  システム変更課題をその場で実際行うオンラインイベントを

  ローコード開発コミュニティ主催で開催しました。

 

  アンケート結果の一部を下記にお伝えします。

 

 また、当日開催の動画をコミュニティ会員限定で視聴できます。

 動画を視聴ご希望会員は、会員登録が必要となりますので

 未入会の法人、個人の方は、この機会にぜひ、ご入会ください。

 

 ■ローコード開発の機能で重要視することはなんですか。

 

 システムが早く工数が少なく開発できること(コストが低減) 69

 保守作業が迅速にできること                52

 ITエンジニアの育成が早い、熟練のエンジニアが必要ない   32

 事業の価値を早く市場に提供できること         29

 システム全体の可視化ができること           31

 失敗しないシステム開発の可能性が高いこと       25

 若いエンジニア(新卒学生)を採用しやすくなること    9

 

 ■ローコード開発を現在活用している、または、これから活用を考えているなか

  で課題がありましたらお聞かせください。 

 

 ローコード開発をサポートしてくれるITベンダー、エンジニア不足 27

 ローコード開発するエンジニア不足、開発体制が弱い          36

 導入コストが高い                             28

 社内経営者、上司のローコード開発への理解不足              20

 その他                                   7

 

 

 

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