ICTの積極的な活用を支援します

 

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一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 メルマガ (第82号)

    http://www.ictm-p.jp/

                          2020/10/21

 

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【目 次】

 

1.巻頭コラム 『遅れている日本のDX、加速のチャンス 』

 

                    ICT経営パートナーズ協会   会長

 

                         関 隆明

      

2.ニュース・お知らせ:今号は有りません

 

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  巻頭コラム  『 遅れている日本のDX、加速のチャンス』

 

                   ICT経営パートナーズ協会   会長

 

                         関 隆明      

 

 

  新型コロナ禍は、日本のデジタル化の大きな後れを浮き彫りにしました。

 当メルマガで何度も指摘してきましたたように

  ○オンライン診療の活用遅れ

  ○国と自治体との情報共有体制の不備による連絡・事務処理の非効率さ

  ○マイナンバー制度の未完による特別定額給付金の大幅給付遅延

  ○テレワーク、オンライン会議の普及率の低さ

  ○紙・押印による業務の非効率さ

 など、欧米や韓国に比し、大きな遅れがあることが、さらけ出されました。

 

 今回は特にコロナ対応のデジタル行政の遅れに焦点が当てられましたが、産業界、企

 業でも、デジタル化の遅れは顕著であることは言うまでもありません。

 その結果、世界における日本の競争力やデジタル化レベルを示す、主要な順位を以下

 に示します。

 (1)スイスIMDの調査(2020年)

     世界国別競争力ランキング 34位

     (2) 同上調査によるビジネスの効率性 55位

        この指標のさらに細かい区分で見ると

     「企業の俊敏性」、「起業家精神」     63位

     「大企業の効率性」、「国の文化の開放性」 62位

     (3) OECDの労働生産性の国際比較(2019年)

        時間当たり労働生産性 OECD加盟36か国中 21位

        一人当たり労働生産性(GDP/従業員)同上中 21位

     (4) 世界電子政府ランキング(国連経済社会局 2020年) 14位

     (1位はデンマーク 2位は韓国)

     (5)スイスIMDの調査(2020年)

         世界デジタル競争力ランキング 27位

     

  このような客観的な評価を正視し、国を挙げて飛躍的向上を図らなければ、 世界か

 ら取り残されます。

 

  去る8月28日突如体調悪化の為、安倍首相が辞任を表明しました。日米同盟の立て

  直し、インド太平洋に安全保障の協力網を作る足掛かりを作り、アベノミクスでは大

  幅な金融緩和や財政出動により景気を維持するなど、多くの実績をあげながら、成長

  戦略だけは道半ばでの引退となりました。

   

  引き継いで菅首相が誕生し、9月16日新菅内閣が発足しました。

 菅政権に課せられている課題は山積しており、まさに大乱世の中の船出であります。

 菅首相は「国民が困っていること、おかしいと思っていることを、何が当たり前かと

 見極めて実行して行く」と述べています。

 従来の予算編成を中心とした「霞が関歳時記」とは大きく異なっており、実質何かを

 やってくれそうだとの期待を抱かせてくれます。

 

 欧州中心にコロナ第2波に襲われ、新興国の感染急増も合わせ、危険状態が増してき

 ている現在、先ずは「コロナ感染抑制」と「経済活動再開」の両立を図りながら、そ

  の上で「規制改革」、「デジタル化」、「縦割り行政の打破」などの難題に立ち向か

  っていくことになると思います。しかし菅首相の就任後の動きは極めて速く、土、日

 返上で、各界の多くのキーマンにスピーデイに会われ、ヒアリングをされている実行

 力はさすがだと感じます。

 

 我が国は20年前、IT先進国になる目標を掲げ、e-Japan構想を打ち出しました。し

 かし実現には至りませんでした。

 その後2004年にU―Japan構想を打ち出しましたが、光ファイバーネットワークの

 インフラ作りは進んだものの、これを生かした国家システムの構築には至りませんで

 した。

 

 共通するのは構想の中身を具体化し、工程表も含む実行計画、官民の人材を集め

 各省庁を横軸で束ねる権限を持った司令塔のある実行体制がしっかり作られていなか

 ったということではないかと推察します。今回発足した新政権では、「平井デジタル

 担当相」が誕生し、新しい「デジタル庁」創設の法案を来年1月の次期通常国会に提

 出する準備に取り掛かっており、来年中には設立出来るのではないかと言われていま

 す。

 

 菅首相はデジタル庁創設を目玉政策に掲げ、「行政の縦割りを打破し、大胆に規制改

 革を断行する」ための突破口と位置付けています。そしてデジタル庁の取り組み課題

 として、「国・地方自治体のシステムの統一・標準化」、「マイナンバーカードの活

 用による各種給付の迅速化」や「行政手続きのオンライン化」さらに「民間部門のデ

 ジタル化支援」などをあげています。

 

 今まで問題になっている主要課題が網羅されている感じで、文字通り、国を挙げての

 大改革であります。菅首相は各省庁にも受け身にならず、現場起点での改革に挑んで

 もらいたいと要請しているようです。

 新組織と各省との横・縦をしっかりかみ合わせ、課題解決策の具体化の実行計画の作

 成と、所要人材の調達や育成がこれから大きな課題となってくるだろうと思います。

 恐らく菅首相は人任せにせず、自ら先頭に立って問題解決に当たってくれるだろうと

 期待して居ります。

 

 日本のデジタル変革(DX)の推進力を一変させそうな、国の推進体制の強化が現実と

 なり、私達の期待が強まって来ています。現実の私達の活動は、亀の歩みのような小

 さなものかもしれませんが、着々と進めて行かねばならないと思っています。ウイズ

 コロナの現在、時間と場所に捉われない働き方を可能にするテレワーク、オンライン

 会議の活用は重要です。しかしテレワークが新しい働き方として定着する中、その生

 産性の評価が分かれてきました。

 

 日経の調査によると、「上がった」が31,2%、「下がった」が26,7%、

 「変わらない」が42,2%という結果が出ています。業種、業務の特性や業務のデ

 ジタル化レベルによって、評価が分かれると思いますが、「上がった」と「変わらな

 い」を合わせると73,4%となります。今後業務のデジタル化が進むにつれ、住環

 境の改善や地方からの都市への勤務の要求の増加などに伴い、その利便性の評価は上

 がると予想されます。

 

 私達は中堅・中小企業でも安く使えるテレワーク、オンライン会議の提供に力を入れ

 ていますが、中小企業でも本社、複数の販売店、工場を持つ所ではそれぞれのオフィ

 ス間での頻繁な情報伝達や少人数での簡単な打ち合わせでの活用要求が増えて来て来

 るように感じます。大いに働きかけていきたいと思います。

 

 ウイズコロナの不況の中でも、常にシステム変更や機能追加が必要になります。何時

 も述べているローコード開発ツールが、低コスト・短納期を武器に”不況に強いツー

 ルとして注目されています。ユーザ企業は外注費削減のため、極力内製化しようと努

 めています。ローコード開発ツールが業務部門の人達自身でも使えるツールであるこ

 とが分かるにつれ、内作を目指す企業が増えて来ています。

 

 従来システム開発のイニシャチブがとれず、止む無くSIベンダーに依存していたユー

 ザ企業が、業務に詳しい強みを生かし、古い基幹業務システムを作り替えたりする傾

 向が強まって来ています。更に変更、追加に柔軟に対応出来る特性から、システムメ

 ンテナンス費も安く済むという利点もあります。今まで従来のウオータフォール型ス

 クラッチ開発で人月商売をしていたSIベンダーも、この活用に熱心になって来たのは、

 大変良い傾向だと思っています。

 

 これから国のデジタル化政策が本格化され、一般企業も新しいビジネスモデルの創出、

 それをビジネスとして展開していく為の、全く新しいビジネスプロセスの構築や業務

 自体の刷新まで、効率的なメソッドやツールを用いたスピーデイなシステム開発が必

 要になってくると思います。

 

 2025年の崖で問題になっているレガシーシステム変革も、同様にスピーデイなシ

 ステム開発が必要になると思います。当協会はローコード開発コミュニテイと協力し、

 「スピードDX分科会」を立ち上げ、システム開発の各工程に有効なメソッドやツール

 提供企業に参加を呼び掛けています。そして超上流のビジネスプロセス構築からシス

 テム開発・運用に至るまでの複数ルートを整備し、顧客が最適なルート選定をし易く

 なる仕組みを追求しています。ご関心のある方々のご参加をお待ちして居ります。

 

                                   以上

 

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