ICTの積極的な活用を支援します

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一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 メルマガ (第64号)
    http://www.ictm-p.jp/
                          2019/04/17

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【目 次】
 
1.会長コラム『2019年度活動計画について』

               ICT経営パートナーズ協会

                        会長 関 隆明     
          
2.特集記事 『IT利活用はSoRからSoEへ』
          ICT経営パートーナズ協会 理事 (プロセス・ルール部会)

          (株)プロセスデザインエンジニアリング

                   代表取締役社長 渡辺和宣

 

3.ニュース・お知らせ
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【会長コラム】『2019年度活動計画について』

               ICT経営パートナーズ協会

                        会長 関 隆明

  今年度当協会は設立後8年目を迎えました。
 今年は特に今まで分科会活動を通し、地道に整備して来たメソッドやツールを活用
 し、より有効な支援活動を展開したいと思って居ります。

 今年の年頭所感でも述べたように、昨年経産省より今のままのIT化を進めて行くと、
 我が国は「2025年の崖」にぶち当たり、世界中でDX時代と言われている中、新
 しいデジタル技術への柔軟な対応が出来ず、DXへの対応が遅れ、「デジタル競争の
 敗者」になってしまうとの警告が発せられました。

 現在日本の大企業の2割が、21年以上経過し、レガシー化した基幹情報システム
 を有しており、10年以上21年未満のものを有している企業が4割あるそうです。
 しかしそれら企業のIT関連予算を見ると、全体の8割がシステムの維持管理に費や
 され、攻めのIT投資に回せていないという現状にあるそうです。

 その結果このまま放置されていると、2025年には21年以上経過したレガシー
 システムを有している企業が6割にも達し、DXの足かせになるとのこと。まさに我
 が国のDX促進の危機とでもいうべき状況になる恐れがあるということだと思います。

 厳しいIT人材不足の中、企業は「レガシーシステムも含む現行システムの更改」と
 「新時代において競争優位に立つ為の徹底したDXの推進」との両面を同時並行的に
 遂行していかなければならないという厳しい状況に立たされています。

 そこで今年度は当協会としてまず第一に、非効率な従来型システム開発から、数倍
 の効率アップと大幅な要員や費用の削減が可能な「超高速開発ツール」を徹底的に活
 用した開発へと切り換えていく支援を、超高速開発コミュニテイと密な連携を図り、
 一段と強力に推し進めて行かねばならないと考えています。

 そしてセーブできた要員を、より付加価値の高い上流工程に振り向け、単なる既存シ
 ステムのマイグレーションではなく、極力将来必要となるであろうと思われる機能を
 先取りした、前向きシステムの開発を押し進められるように支援して行きたいと考え
 ています。

 当協会では設立当初より「経営情報プラットフォーム構築法」の整備の為の分科会活
 動に力を入れてきており、こういう目的に役立つメソッドやツールが用意され、それ
 を用いた支援活動を行ってきています。 例えば下記のような分科会があります。
 「デザイン思考による新ビジネスモデルの創出」(経営イノベーション分科会)
 「ビジネスアナリシス方法論GUTSY-4によるビジネスプロセスの設計」(ビジネスプ
    ロセス分科会)
 「SUSDを用いたシステム開発企画策定」(ITビジネスデザイン実践分科会)
 「業務・データ定義――Xupperによるリポジトリ作成」(JBCC社&ITビジネスデザイ
  ン実践分科 会)
 「超高速開発ツール活用支援」(超高速開発分科会&超高速開発コミュニテイ)

 最近、ますます超高速開発の評価が高まってきており、エンドユーザ自身によるシス
 テム開発、大規模システム開発への活用、SIerの活用の活発化、更に政府CIOやCIO補
 佐官の評価も得るようになり、官庁での活用が始まりだしています。
 この勢いを加速し、レガシーシステムからの脱却、その他の現有システムの変革に貢
 献して行きたいと考えています。

 一方先進技術を活用したDX支援にも大いに挑戦して行かなければならないと思ってい
 ます。
 今年度は例えば次の様な分野のシステム構築支援に力を入れて行きたいと考えていま
 す。

 一つは中堅・中小企業におけるIoTシステム導入支援です。 現在立派なIoT活用論
 や先進システムの事例紹介のセミナーなどが盛んに行われていますが、中堅・中小
 企業が「これなら自社も活用できそうだ」と思えるものが少なく、近いものがあった
 としても、「どのように導入したら良いのか、さっぱり分からない」と思っている企
 業が多いのではないかと思います。

 そこで当協会としては実際稼働していて、効果の出ているシステム事例を積極的に発
 掘し、その導入企業、開発したシステムベンダー及び当協会のIoTシステム協創チーム
 とが連携して、システムの標準化を図り、伴走型の支援による他の類似企業への、横
 展開を図っていこうと考えています。

 例えば多種少量のパイプ加工品を個別製造している中堅企業のIoTシステムを開発し、
 しっかり稼働させ、成果を出しているE社とタイアップし、実践して行きたいと考えて
 います。 同じような試みを、2つの介護施設を営みながら一方でIoTシステムを開発
 しているSIerのS社と協力して、同じような試みをして行きたいと考えています。

 もう一つの分野は、「ホワイトカラーの働き方(中味)改革」支援です。顧客のオフ
 ィスの現場の実態も知らずに、自社のRPAが最適だと提案し、ひんしゅくを買う例が
 増えています。当協会ではH社の測定ツールを使い、ランダムサンプリング法で対象
 部署の各業務の使用時間比率を掴みます。 その結果を分析・整理して無駄作業の排
 除、人手作業のやり方改善、その企業に適したRPAを使用した効率アップの提案をす
 るという方法を試みています。

 この改善案検討には経営コンサルタント、RPAベンダーやSEなど多種の専門家が参加
 するオープンイノベーション型の協創チーム編成が好ましいと考え、現在チーム編成
 を進めている所です。 この様なチームでベストと思えるソリューションを考え出し、
 それを提案すると言う体制を是非作りたいと考えています。
 
 特にRPAについては導入数が増えるにつれ、個別にランダムに導入するのではなく、
 RPA+BPMの形で業務プロセスの中で各RPAの位置づけを行い、経営的に見て全体最適
 になる様に導入すべきだと考えています。

 更にIoTシステムにおいて、各工程を結びつけるエッジコンピュータが必要なのと同
 じように、オフィスにおいてもBPMで一連の作業をつなぐためのエッジコンピュー
 タが必要になるだろうと考えています。

 今年度はオフィス用機器とダイレクトにつなぐ為のPi/oも内蔵した安価なエッジコン
 ピュータの検討をしっかりやりたいと考えています。
 新しい技術を用いた先進システムの開発は、これからいろいろな分野で行われると思
 います。この種のシステム開発に興味のある方々のご参加をお待ちしております。

                                         以上


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【特集記事】『IT利活用はSoRからSoEへ』
   
          ICT経営パートーナズ協会 理事 (プロセス・ルール部会)

          (株)プロセスデザインエンジニアリング

                  代表取締役社長 渡辺和宣

 

 GUTSY-4(ビジネスアナリシス方法論と業務参照モデル)を開発し、適用を始めて1
 3年が経過しました。本稿では、GUTSY-4の主要適用分野であるSoEについて述べま
 す。

 業務領域には2種類のタイプ、SoRとSoEが存在します。2014年にガートナーが主張
 したのですが、米国ではこの直後からIT投資額はSoE対象がSoRを上回るようになり
 ました。SoRは自動化や効率化を狙う「記録のシステム」であり、サプライチェー
 ンの調達・製造・受注出荷そして経理などが対象、SoEは情報化や増力化を狙う
 「繋がりのシステム」であり、マーケティング、人的販売、商品企画・製品設計・
 試作などが対象。
 詳細→http://process-design-eng.com/contents/library/img/C70-01-35N.pdf

 SoEでは、(ビジネス)プロセス設計が先決で、次にIT化の検討となります。プロセ
 スが見える化されていない多くの日本企業にとって、かなりハードルが高い。ISO
 では、個人別プロセスではなく、組織で統一されたプロセスを要求しています。な
 らば、今朝の新聞にもあった自動車の完成検査を怠ったことによるリコールなど起
 きる筈がありません。

 そして、日本企業の研究開発投資は売上高比10%と高額なのに、なぜ付加価値生産
 性が低いのでしょうか。
 日経コンピュータ誌の調査によれば、SoE用のITツール「AI、データ分析、IoT、CR
 M」は満足度が低いと報告されています。最近では、RPAは効果が小さいとも。

 日本におけるSoEでは、全体プロセスを「見える化、再設計」して、ボトルネック
 を特定、最後にIT化となります。最初にIT検討ではありません。
 
 2010-2011年における今野製作所事例では、全体プロセスを「見える化、設計」し
 て、ボトルネックを特定、そしてIT化となりました。その費用は、コンサル30人日
 (数百万円)と月800円/人のクラウドサービスであり、効果は同一人員のままでETO
 品の売上増が累計8億円以上になり、さらに売上は増大中。
 経過:
http://process-design-eng.com/contents/casestudy/20130421konno-seisakusho.html
 詳細:http://process-design-eng.com/contents/library/img/M425-402N.pdf

 私自身は、数年前にサプライチェーンというSoR領域から、SoE領域にシフトしまし
 た。その契機は、シャープが中国企業に買収されて卓越した経営者によってV字回
 復したことです。

 一方、日本企業ではSCMもなかなか成功しません。そして、日本企業の海外生産化が
 進行して、国内に残るのは製品開発業務だと思ったからです。 業務参照モデルは
 SoR領域のサプライチェーンは開発済み(約567個)でしたが、追加開発を研究開発の
 SoE領域に切り替えました(現在、総プロセス数は317個)。1個のプロセス定義につ
 き、機能・インプット/アウトプット・ルールなどA4で1枚分の参考情報があります。

 昨年から、材料S社の250名の研究開発本部でビジネスアナリスト2名を育成中です。
 これは、データサイエンスとの競合に勝ったものです。現状プロセスが全く不十分な
 ので、分析に使えるデータが無いと判断し、プロセス改革+SoE構築を提案しました。

 SoEとして、先ず設計・開発のプロセス標準化を行い、この上に独自プラクティス25
 個を搭載し、来月5月から本稼働予定です。ここでのプラクティスとは、「優れた
 設計者」の暗黙知を形式知化して、多くの中間層の底上げに利用します。そして、
 下記図の濃緑のように第1次から2次、3次と次々に拡充、継続していく予定です。

 詳細:http://process-design-eng.com/contents/library/img/C60-10-65N.pdf

 SoEでは、SoRとは全く異なりパーフェクトな定義でなくとも、これに多くの事例が
 蓄積されることで、今野製作所事例では投資の売上増への貢献が120倍以上となって
 います。たとえば、米国3M社では研究開発業務を1990年代からプロセスを標準化し
 た上で、自社で開発したプラクティス(最初は6σを応用して)を搭載し適用しまし
 た(現在ではデザイン思考を取り入れているでしょう)。 

 SoE用のITツール導入では、決めつけ導入はダメであり、プロセスの見える化と標
 準化、そしてボトルネックを特定して、そこからプラクティスを選定して導入しま
 す。プラクティスはITツールだけとは限りません。これをITツール先行だと、前述
 した日経コンピュータ誌の調査のように効果が小さくなります。正しく行えば、前
 述の投資額比の売上増120倍の事例があります。ITベンダーならば最初の顧客は自社
 であり、プロセス候補は社内に一杯あります。たとえば、営業(=人的販売)プロセ
 スとか、それによってビジネスアナリストを育成できます。

 長くなりましたので、もしお時間がありましたら、下記ブログを参照して下さい。
『IoT,RPA,AIなどの最新ICTソリューションは、どこにどのように導入したらよいのか』
    http://process-design-eng.com/contents/iotrpaaiict.html

 

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【ニュース・お知らせ】

●おしらせ 速報: IT導入支援事業者の登録申請開始(IT導入補助金の業者登録開始)
          https://www.it-hojo.jp/vendor/requirement.html

 新規登録受付中~7月下旬<予定>
 平成29年度補正 サービス等生産性向上IT導入支援事業においてIT導入支援事業者とし
 て採択されていた事業者による移行申請についても登録受付中~5月下旬<予定>

●ITCA後援セミナー「戦略的デザインセンスを身につけよう」のご案内

 この度はプロのデザインコンサルタントをお呼びして、経営戦略をアートデザイン
 という視点から考えるセミナーを企画しました。
 
【名称】ITCA後援セミナー
    「戦略的デザインセンスを身につけよう」-デザインのキーワード、それは
    「トーン・アンド・マナー」-

【主催】 ITマネジメント・サポート協同組合
【日時】 2019年5月23日(火) 18:30-20:30 (18:00受付開始)
【場所】 新宿文化センター 4階第1会議室
     〒160-0022 東京都新宿区新宿 6-14-1
     https://www.regasu-shinjuku.or.jp/bunka-center/traffic-access/

【申込み】
     http://www.itms.or.jp/topics/20190523.html

     ICT経営パートナーズ協会会員の方はその旨、お申し込みの際にお申し出
     ください
【定員 】50名
【受講料】1,800円(事前払込み)割引価格  

【趣旨】  日頃からIT経営に取り組むITコーディネータ諸氏にとって、経営戦略は最
     も重要な課題です。今回のテーマはその経営戦略の要素として、「戦略的
     デザイン」を考えてみませんかというものです。
     本セミナーで扱う「戦略的デザイン」は、デザインを装飾ではなく「問題
     解決の手法」として捉え、1回限りの使い捨てではなく、継続して発展的
     に使用することで生産性を上げ、ブランドやサービスの価値創出を行うも
     のです。 
     また非デザイナー系のコンサルタントやエンジニアなどの方が覚えておき
     たい、「トーン・アンド・マナー」(空気感を作るデザインディレクショ
     ン)の手法も具体的に紹介します。

【講演者】 株式会社ウジパブリシティー       代表 ウジ トモコ

【問合先】 ITマネジメント・サポート協同組合事務局 藤田 秀一  itms@erp.jp

【後援】
     特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会
     東京都中小企業団体中央会
     一般社団法人ICT経営パートナーズ協会(ICTMp)
     一般社団法人クラウドサービス推進機構(CSPA)
     ITCA届出団体ITCイースト東京    

 以上ご案内申し上げます。    

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法人会員

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