ICTの積極的な活用を支援します

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  一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 メルマガ (第21号)
      http://www.ictm-p.jp/          2015/9/17
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  【目 次】
 
1.会長コラム『 マイナンバー制度の運用開始を間近にして思うこと 』

2.特集記事 『 近江商人「三方よし」のビジネスモデル考察 』
                              ITコーディネーター 宇羅勇治 
                                                          
3.ニュース・お知らせ
 ・協会、分科会の活動報告
  ・関連セミナー、その他ニュース

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【会長コラム】『 マイナンバー制度の運用開始を間近にして思うこと 』
 
                                        ICT経営パートナーズ協会
                      会長 関 隆明

 いよいよ10月よりマイナンバーの個人への通知が始まり、来年1月からの
税金、社会保障、災害関連の3分野での「マイナンバー制度」の運用開始が近
づいて来た。
当コラム3月号で「マイナンバー制度は我が国のIT化の試金石になる」と題し
述べた頃、オービックビジネスコンサルタント社のアンケート調査によると、
「既に準備に入っている企業」は僅か6%だった。一般国民の認識もまだ低く
自治体や企業のやらなければならない準備作業の所要時間と残された時間との
ギャップが極めて大きいのではないかと危惧した。

 その後国やコンサルタント、SIer、汎用パッケージソフト開発ベンダーなど
が、可能な限りセミナーを開き、この制度の啓蒙や内容の理解向上に取り組ん
できた。恐らく大きな改善がなされたのではと期待していた。然し去る8月の
読売新聞社の全国世論調査によると、「制度を知らなかった」6%、「内容は
知らなかった」46%を合わせて52%に達して居り、今尚この制度に対する国
民の理解が不十分という実態が示されている。

 そして「政府が国民に制度の内容について十分説明しない」と感じている人
が96%にまで達しているとのこと。恐らく政府はいろいろ広報していると思
っていると思うが、国民レベルまでの徹底はそう簡単なものではないことを示
しているのではないかと思う。政府はこの制度浸透の為、「何時まで」ではな
く、将来に亘って新しく追加される適応テーマについて、継続的に丁寧な説明
や周知徹底する為の方策を講じて行く必要があると思う。

 又今月9日の共同通信社が行った自治体へのアンケート調査の結果によると、
自治体側の準備作業が「間に合うか不安」と「間に合わない可能性がある」と
の合計が1割近くあるそうだ。更に自治体のセキュリテイ対策について「大い
に不安」と「やや不安」の合計が6割に達しているとのこと。

 調査結果の数値は持ち合わせていないが、今回の適用領域では余りメリット
を感じていない一般企業の準備作業は、もっと遅れているのではないかと予想
する。

 然し企業が短期間で全社員の番号を入手し、間違いが無いことを確認し、シ
ステムに登録することから始まり、新しい番号が追加されることによる帳票や
書類の変更、業務プロセスの改変、それを反映した人事給与や経理システムの
改修などは、大変な作業になると思う。

汎用パッケージソフトを使っている場合は、ベンダーによるリビジョンアップ
に委ねられるが、独自システムを構築している場合は、システムの改修や新プ
ログラムの開発が必要になる。SE不足が深刻化している現在、これらの作業が
運用開始に間に合わないリスクが大いにあるだろうと思う。

 セキュリテイ対策の強化は最重要課題で,漏洩や悪用防止を徹底する為には、
システム上の対応は勿論、就業規定、管理規定などを整え、社員教育の徹底を
図る必要がある。 これらの準備も予想以上に時間を必要とするものだけに、
この短期間にどこまで徹底出来るか心配になる点である。

 然し運用開始時点が決まっている以上、最善を尽くし、後は運用開始後発生
する問題を出来るだけ速やかに解決しながら、忍耐強く準備不足を補っていく
以外にないと思う。その結果1億2千万人の国民が絡んでいる制度の導入が、
如何にリードタイムを必要とするかと言うことを、いやと言うほど知らされる
かも知れない。

 今後毎年のように、金融機関の預金口座や医療番号との結び着け、戸籍や旅
券、自動車登録など次々適用対象が広がって行く。何時か既存システムの改修
では対応しきれない時が来る。私達の立場からすると、このように新しい分野
への拡大発展に伴う情報システムの改修や新開発を、どのようにスピーデイ且
つスムーズに行っていくかと言うことに、最大の関心がある。

 勿論出来得る限り業務の標準化、共通化を図り、汎用パッケージソフト化と
その活用を促進すべきなのは当然であるが、どうしても新制度導入の場合は、
独自システムが必要になるケースが多いと思われるので、業務フローの整備、
新データの追加からプログラムの改修や開発を効率的に行える仕組みが必要に
なって来る。

 当協会ではこの目的を果す為、BPMによる業務プロセスの整備、人とシステ
ムの機能分けと両者連携の可視化、リポジトリの作成とこれを核にした汎用パ
ッケージソフトの導入又は超高速開発ツールによる自動プログラミングまで、
横連携させた体系化を進めてきた。今回の自治体や企業の準備作業に適用でき
なかったが、今後長年に亘る改修や開発作業に役立つ仕組みとして、その活用
を積極的に働きかけ、準備作業の効率化に貢献して行きたいと思っている。



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【特集記事】 『 近江商人「三方よし」のビジネスモデル考察 』
                               ITコーディネーター 宇羅勇治
                                       
  デフレ政策でビジネスの閉塞感が長く続いていたが、新しいイノベーション
の重要性が叫ばれ、BOP(Base Of the Pyramid)ビジネスモデルやリバース・
イノベーション(Reverse Innovation)など、世界の購買層人口のうち上位購
買層(1.75億人、3%)から下位購買層(40億人、72%)に向けたビジネスに
シフトする試みが行われ、成功事例も多数発表されている。

  これらの事例は、開発途上国の「現場」で課題を乗り越える一苦労が必要で
ある。特に先進国はインフラ基盤が充実しており、購買層も良い製品であれば
購入してもらえる。しかし開発途上国は購買人口が多いけれども、インフラ基
盤が未成熟なうえ生活をすることが最優先であり、高価な良い製品の購入が困
難である。この多くの購買人口層に向けたビジネスは、現地の人が喜び、現地
の人が収入を得られ「笑顔が価値」と思える薄利多売のビジネスモデルを志向
することが大切である。将来的に現地の購買力が高くなり、長期的に見れば大
きなビジネスが生まれる土壌作りが必要である。


  グローバル企業は「Win」の考えで、世界市場の独り勝ちビジネスモデルで
あり、「Win」企業は多くは存在しえないし、長期間にわたり企業が成長する
ことも難しい。数百年続く老舗企業が多い日本とグローバル企業の隆盛・衰弱
の変化も激しい。

 「Win-Win」のビジネスモデルは、自社に足りないものを補完して、両社が相
互協力して「Win」を目指す考えで、自社で完結できるビジネスモデルの構築
に時間をかけるより、スピード化を重視して即ビジネスを立ち上げることに主
眼をおいている。

  開発途上国に向けたビジネスモデルは、江戸・昭和初期に活躍した近江商人
の「三方よし」ビジネスモデルがある。このビジネスモデルは「売り手よし」
「買い手よし」「世間よし」を理念としており、「Win-Win-Win」の「3Win」
を理念としており、1企業でビジネスを構築するのでなく、複数の企業が英知
を共創し、各々の企業が利益を得るビジネスモデルである。「世間よし」は、
企業が長く継承するためのCSRの精神であり、利益の還元は、地元に神社、お
寺などに寄進を進め一人勝ちを戒めている。


【ビジネスの事例1】
  住友化学の「オリセットネット(長期残効型防虫蚊帳)」でマラリヤ撲滅を
推進中で、アフリカの人々を救っている。WHOはアフリカでマラリアの経済損
失は年間120億ドルをうわまわると推定されている。2001年WHOから「オリセッ
トネット」製品が「企画推奨製品」に認定された。しかし販売は厳しい状況で
あった。

  タンザニアのムカバ大統領が2005年1月のダボス会議でマラリア防止の協力
を訴えた。そのとき小泉首相はODAでの増額を表明したが・・・。それよりハ
リウッド人気女優のシャロン・ストンが「1万ドルの寄付を申し出て、ビルゲ
イツなど30人以上が賛同」し総額100万ドルの寄付が集まり、コンテナで12個
分の蚊帳が現地に配布された。

 【会社が共創】
(1) 住友化学(技術移転と品質保証)を行い
(2) Exxon Mobile社(原材料のポリエチレンの供給)
(3) AtoZ社(現地企業)オリセットネット(蚊帳)製造を行う。

 【世間よしの精神】
設立当時600人が2010年に7,000人規模の工業団地に変貌し、現地の人が働いて
収入を得ている。

 【貢献】
2006年に校舎を贈呈し授業を行い、2010年BS朝日取材で、オリセットネットを
開発した伊藤高明が訪れると、学校給食が始まっていた。


【ビジネスの事例2】
 日本ポリグル社の水質浄化剤(PGa21Ca)
被災地で「水が飲めない」状況を打破するために支援を求められて、支援をし
たのがきっかけとなった。

・川や池の濁ったに水質浄化剤(白い粉)をいれてかき混ぜるだけで、汚れや
植物性プランクトンが凝集して簡単に除去できる。
・水中に分散している微細粒子も凝集するので「凝集剤」とも呼ばれる。
・ただし農薬は除去できないので、使用方法を徹底する必要がある。

 母親が衛生的な水を使うと、子供が病気で死ぬことが減り(下痢から解放さ
れ元気になる)ことに気づき常時利用を希望するようになった。

 【現地の人を採用】・・・現地の人が喜ぶ
(1) 日本ポリグル社は器具、水質浄化剤の提供と教育支援、
(2) バングラディシュの現地人(マネージャー)を採用
(3) ポリグルレディ(実演、販売キット、エバンジェリスト)
(4) ポリグルレディの雇用・教育

 【母親の目線や現地で課題を解決】
 現地人アイデアの採用・・・販売レディの確立


日本企業にこのような成功事例はまだ多くあります。
「Win」目指すだけでなく、現地に寄り添い英知と共創の「三方よし」の理念
を具現化し、世界中の人々が皆、幸福になるようなビジネスが増えるように支
援をしていきたい。


 
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【ニュース・お知らせ】

●法人会員 加入のお知らせ

 7月に法人会員制度を新設しましたが、8月に第一号として、
株式会社 BlueeMeme社(代表取締役:松岡 真功氏:
 http://www.bluememe.jp/index.html)が、加入されました。

BlueMeme社は、超高速開発コミュニティの正会員であり、第五世代開発ツ-ル
の”Outsystems Platform(通称OSP)”(ポルトガル製)の国内総代理店です。
OSPは、日本で本格的に販売が開始されてから2年程度ですが、すでに大手グ
ローバル企業や京都市でも採用が決まっている
http://www.city.kyoto.jp/rizai/chodo/ebid/buppin/2015/456000.htm の
p46に前提となる旨の記載があります)注目製品です。

 OSPは、7月のクラウドサービス推進機構(松島圭樹理事長)が実施した「中
小企業に役立つクラウドサービスの審査」でも、開発系サービスで唯一認定さ
れた製品であり、今後多くの企業で採用の検討が始まると思われます。


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●超高速開発分科会から設立した「超高速開発コミュニティ」からのお知らせ

去る8月27日、ビジネスシステムイニシアティブ2015におきましては、
多くの方からご参加いただき、ありがとうございました。
ICT経営パートナーズ協会も後援し、分科会と連携する
超高速開発コミュニティも共催させていただきました。


★ユーザー事例セミナー 10/22(木)13時30分~17時(予定)
ご発表企業、詳細は近日中に https://www.x-rad.jp/ に掲載いたします。

★GeneXus分科会 10/13(火)15時~ 終了後懇親会あり
 講師 パナソニック株式会社 エコソリューションズ社
 詳細、お申込はこちらから→ http://genexus.wp.xdomain.jp/

★モデリング分科会 10/28(水)18時30分~ 終了後懇親会予定
 会場 株式会社コアネクスト
        (株式会社ソルクシーズ ミーティングルーム)
 詳細、お申込はこちらから→ https://www.x-rad.jp/


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●関連セミナーのご案内

★「経営革新セミナー第3回」のご紹介

【主催】 情報戦略モデル研究所(ISMリサーチ) 
【協同主催】 一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 

【セミナー概要】
  当セミナーは、ICT経営パートナーズ協会のメンバが時流及び現在注目  
  されている経営革新テーマを取り上げ、その背景および課題解決のキーポイ
  ントを提供するものです。
   各講師が担当するテーマは約1時間でその重要ポイントを解説します。
 
 ◆ 日時:平成27年10月28日(水) 13:30-16:45 
 ◆ 開催場所:公会堂教室 (中央区立日本橋公会堂)
 ◆ セミナー構成
    ・「経営革新を支える営業組織のあり方」
                講師 本間峰一  ICT経営パートナーズ協会理事

    ・「上手い経営者はみんな知っているおカネの管理の7つの
                                                      ポイント!』」
                講師  山田隆明   公認会計士
       
    ・「オープン・イノベーション戦略」  
        講師 井上正和  ICT経営パートナーズ協会活動会員
    
  ◎詳細、申込みはhttp://www.ictm-pa.jp/seminarc/1028seminar/ まで



★ Excelをベースとする超高速開発ツール(StiLL)の事例研究フォーラム 
    (中小企業導入事例)のお知らせ

 ◆主催:アイエルアイ総合研究所(http://www.still.co.jp/index.html

 ◆日時:10/16(金) 13:30-17:00

 ◆場所:東京国際フォーラム ガラス棟G404号室

 ◆発表事例:・従業員数 84名 ・業種 ブレード製造業
       ・システム名 受注管理システム、検査システム等 

 ◆お申込み先:http://www.still.co.jp/event/forum.html
   
(アイエルアイ総合研究所は、ICT経営パートナーズ協会のパートナーです)


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