ICTの積極的な活用を支援します

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   一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 メルマガ (第10号)
      http://www.ictm-p.jp/            2014/10/15
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  【目 次】
 
1.会長コラム『重なるシステム開発要求への対応の厳しさ』

2.特集記事 『中小企業における国際会計基準の適用についての考察』

3.ニュース・お知らせ
 ・協会主催セミナーのご案内
 ・各種団体との連携、その他活動報告
 ・「超高速開発コミュニティ」の活動内容とセミナー紹介

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【会長コラム】『重なるシステム開発要求への対応の厳しさ』
 
                    ICT経営パートナーズ協会
                       会長 関 隆明

 このコラムでは暫く超高速開発、クラウドなどシステムの開発や調達の方法
やツールについて述べることが多かったと思っている。しかし本来の当協会の
主たる役割は飽くまでも経営改善・改革やイノベーションの実践支援などにあ
るので、今回はその観点から意見を述べてみたい。


 現在情報サービス産業の年間売上高は約21.4兆円、従業員数約91.7
万人と発表されている。そこで気になるのはこれらのリソースがどんな仕事に
費やされているかと言うことである。

ユーザ企業では従来更新したくともリソースの余裕が無かった為、我慢して使
ってきたレガシーシステムの更新が急務になっていると予想される。そこへ待
ったなしのWindows Server 2003のサービス停止、再度の消費税アップへの
対応などが必要になって来ている。

これらへの投資は飽くまで「守りの投資」に当たる訳だが、現業の為には多く
のリソースを掛けてでもやらざるを得ず、ITベンダーにとっては大きなビジネ
スチャンスになるだろう。

然し重要なことはこれを機会に、単なる改善やリプレースではなく、今強く求
められている競争力強化の為の「攻めの投資」でなければならないはずである。
その為には新しい戦略に基づいた新ビジネスモデルの設計、その実践の為の業
務プロセスや業務ルールの整備など、上流工程へのリソースシフトが急務とな
っている。


 この様な状況下のうえに、平成28年1月から施行される番号制度への対応と
言う、国、自治体及び企業挙げての大事業が進行中である。これは従来の縦割
りのお役所システムを横軸で連携の取れたシステムへと変えて行く大仕事であ
る。

そして次々出来上がって行く国、自治体のシステムに一般企業システムを有機
的に結び付けて行かなければならない。韓国の如く国で定められた法律に基づ
いて行われる業務は全て標準化し、システム化され、どの自治体も共用して行
くと言うのが望ましいのは言うまでもない。

然し日本ではいくつかの大手SIerが、それぞれ担当した自治体については共通
化が図られると思うが、それぞれのシステムは異なる上、更にその対象になっ
ていない自治体については、それぞれ個性に富んだシステムを作り直さなけれ
ばならない。

これらの仕事も膨大なリソースを必要とし、ITベンダーの仕事はますます増え
てくる。しかしこれらの投資も「守りの投資」と言うべきものであろう。

共通業務用システムを統一し、文字通り自治体用クラウドが用意され、全自治
体がそれを共用出来れば最高だが、新制度実施時期と所要準備期間の長さとの
アンマッチは明白である。そしてその上さらに、2020年のオリンピックに
向けた、新情報インフラの開発が時間と共に折り重なってくる。


 この様にそれぞれの立場から、「○○は何時までに絶対にやらねばならな
い」と要求されても、リソースに限りがある以上、出来ないものは出来ないと
なる。

決して私は評論家的立場に立って、批判や悲観論を述べようと思っているので
はない。必要とされるシステム開発全体をマクロに捉え、リソースと対応させ
た実現性を睨む司令塔でもなければ、こうなるのは必定だと言う現実を述べた
までである。

然し自分たちで出来ることは最善を尽くそうと思い、いくら「メソッドやツー
ルばかりに拘泥するな」と言われても、「前向き投資」に少しでも多くのリ
ソースを向けて行けるよう、もっと徹底したクラウドや超高速開発メソッド/
ツールの活用を叫び続けているのである。 


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【特集記事】 『中小企業における国際会計基準の適用についての考察』
  
                     ICT経営パートナーズ協会 監事 
                           青柳六郎太

 今日、アベノミクス成長戦略の下に、中小企業が海外進出で新たな成長機会
を獲得することが期待されるところですが、適用する会計基準の国際化対応が
気になるところです。
 本稿では、このテーマを取り上げて中小企業が今後の会計基準の国際化に、
どのような対応策を講ずる必要があるのかについて考察していきたいと思いま
す。

1.最近の我が国におけるIFRSの適用動向

 国際財務報告基準IFRS採用については、平成22年に、国際的な事業展開や財
務活動で実績がある一定要件を満たす上場企業に連結決算に限定したIFRSの任
意適用が認められました。

一方、IFRS強制適用については平成23年に結論が見送られましたが、政権交代
後は平成25年6月に企業会計審議会から「IFRSへの対応のありかたについての
当面の方針」が公表され、同年10月に任意適用範囲が非上場企業も可とするな
ど大幅に拡大されました。また自民党からは、今後3年間の“集中投資期間”
の早い時期に、強制適用の是非やタイムスケジュールを決定するよう要請が出
されています。

任意適用では300社程度の導入が想定されています。日経INDEX400でも、
IFRS採用が定性要素として加味されることになりました。このようにIFRS採用
は、アベノミクス成長戦略の一環として動き出した感があります。しかしなが
ら一般の中小企業を採用対象の俎上にあげる兆候はまだ見られません。


2.我が国における中小企業が適用する会計基準の動向

 平成21年頃、国際会計基準適用議論に対して中小企業では、国内の会計慣行
とのギャップが大きいIFRS採用への忌避感が強く、反動として中小企業向けの
簡易な会計基準制定を望む声があがりました。

既に平成17年に会社法制定に対応して“中小会計指針”が公表されたのですが、
関係団体からは、この基準も中小企業の脆弱な体制や会計実務能力からはハー
ドルが高すぎると批判的な声も多く、関係団体の要望に呼応して、中小企業庁
と金融庁の共同作業から“中小会計要領“が平成24年2月に公表されました。

“中小会計指針”は、IFRSへのコンバージェンスが進む上場企業向けの会計基
準を簡易化していますので国際基準への準拠性が高い内容と考えられますが、
一方の“中小会計要領”は、従来から我が国で馴染まれている会計慣行や税務
会計が集約された基準になっており国際会計基準の影響を受けない内容とされ
ています。

さらに平成23年6月に中小企業経営力強化支援法が制定されましたが、会計の
活用を通じた経営力の向上と決算書の信頼性の確保をベースとした資金調達力
の向上が謳われ、“中小会計指針”に加えて“中小会計要領”がその担い手と
して位置づけられたと解釈することができます。いずれも採用企業には信用保
証料の割引措置など金融面での優遇措置が与えられています。


3.中小企業の会計の担い手

 多くの中小企業の会計の実質的な担い手は、実態として税理士や公認会計士
(以下税理士等)です。さらに前記の中小企業経営力強化支援法で中小企業の
経営力強化と金融機関と連携する外部専門家として税理士等が位置づけられて
いました。とすると、中小企業の経営者自身の意思よりも税理士等がどのよう
な会計基準を選択するかが中小企業の会計水準の決め手になります。

従来は、税理士等がどのような会計基準を採用するかは自由裁量に任されてい
ましたが、これからは税理士等が採用すべき基準として、多数を占める零細な
中小企業には“中小会計要領”が、一方、一部の中堅企業には“中少企業会計
指針”が中核になると考えれます。


4.中小企業の海外進出に対応した会計基準の選択

 期待される中小企業の海外進出先で選択する会計基準も、実質的には税理士
等が関与することになると考えられます。 海外の税務会計では国内の税理士
等も直接業務を受託するのは難しいでしょうから、現地の会計事務所との連携
が望まれますし、実勢もそのように進んでいます。

 一方、海外での会計基準は、米国の会計基準採用国を除き、IFRSに準拠した
基準が各国で制度化が進んでいるようです。 IFRSの制定機関であるIASB
では、中小企業向けの簡易版と言えるIFRSfor SMEsがリリースされています。
また零細企業向けの、適用指針も公表されました。

 複数国に海外進出する中小企業が、社内の会計基準の統一を図り、連結決算
でグローバル業績を可視化できるようにしようとするならば、顧問先の国内税
理士等を通じて、IFRSfor SMEsを採択する選択肢が考えられます。

 この場合は、グローバルでの経営成績と財政状態やキャッシュフローの可視
化は
 ①国内基準の大勢となりそうな“中小会計要領”と IFRSfor SMEsとの差異
    を調整して連結決算を行う
 ②“中小会計要領”は採用せず、より国際基準に準拠性が高い“中小会計
    指針”を採用して現法に適用したIFRSfor SMEsベースでの決算との連結
    を行う。
 ③国内外共にIFRSfor SMEsSを採用し、連結決算を行う。

の選択肢が考えられますが、筆者は②のパターンが、実現性が高いかと考えま
す。


5.今後の課題
 いずれにしても、中小企業のグローバル化に対応する経理は、税理士等がキ
ャスティングボードを握りますので、今後税理士等が研修プログラムを活用し
てIFRSfor SMESを使いこなせる能力を備えるか、またそのような会計処理を支
援する適切な会計ソフトが国内で提供されることが課題になると考えます。 
      


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【ニュース・お知らせ】

●協会主催セミナーのご案内

「超高速開発」に関連する下記の無料セミナーを東京商工会議所のCWS
(クラウドワーク スクエア)にて開催中です。こちらのサイト
http://event.tokyo-cci.or.jp/から研修の名称(一部で可)で検索いただく
と詳細をご覧いただけます。幸いセミナーは全般的に好評で、出席いただいた
企業の方から、個別相談のお申し出もいただいています。

・なぜ、現状の基幹業務システムは、ビジネス環境の変化に迅速に対応できな
 いのか?(11/12,12/8)
・IT利活用で儲かる企業体質に変える手法~製造業事例満載~ (10/8)
・自社でできるIT利活用で業態変化を飛躍のチャンスに!(10/17,11/5,11/21)
・儲かる部品メーカになるために必要な情報システムとは (10/3,11/12)
・コスト部門から戦略部門へ、抵抗勢力から改革勢力へ!情シスの社内プレゼ
 ンスを高める武器12選(11/28)
・他社に勝つIT導入人財育成研修(2日コース 有料) (10/23,24) (11/26,27)
・情報処理技術者のための業務システム設計演習コース10/24(金)

 なお、一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会主催のセミナーの最新情報
は、http://www.ictm-pa.jp/seminar/からご覧いただけます。


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●各種団体との連携

・ITマネジメント・サポート共同組合(ITMS) IT技術動向セミナー 「超高速
 開発革命!! ビジネスチャンスをつかめ」 ~従来型の業務システムを変
 革せよ。 ITエンジニアにもたらされる役割とチャンス~(9/25)を好評の
 うちに終了しました。

・城南信用金庫の吉原理事長を、“2014よい仕事おこし”フェアへの出展のお
 礼を兼ね訪問(9/30)。その席で、子会社の城南ビジネスサポートサービス
 でのセミナー開催の紹介を受けました。今後、一般社団法人 ICT経営パー
 トナーズ協会の会員の皆様から、セミナー開催の募集を募る予定です。

・中堅SIベンダ数社を集めて、超高速開発に関するセミナーを開催しました。
                              (10/7)

・内閣府のCIO補佐官フォーラムにて「超高速開発の狙いと効果  ~行政シス
  テムの開発・維持の効率化を目指して~」のタイトルでセミナーを開催しま
  した。(10/14)
  予定時間を30分以上延長して活発な意見交換をしました。また、省庁システ
  ムでの採用に向けての前向きなご意見も多数あがったことをお知らせします。

・BCN社が主催する22世紀アカデミーにて、超高速開発ツールを活用した時代
 に備えて、システム開発につながる業務分析のスキルを身に付けることを狙
 いとした下記の二つのセミナーをICT経営パートナーズ協会の会員が行いま
 す。

 ・アプリ開発者に求められている業務分析(ダイジェスト版)~超高速開発
  時代に必要な上流スキルとは~(無料)
    http://eventregist.com/e/22academy_20141021

 ・いまだかつてない!目から鱗の、“業務分析の視点”を理解できる研修講
  座 ~システム設計に必要な上流工程スキルを学ぶ~(有料)
    http://eventregist.com/e/22academy_20141121

・一般社団法人 メーリングサービス協会が会員向けにビッグデータに関する
 セミナーを開催します。ICT経営パートナーズ協会の会員が「ビッグデータ
 入門」というタイトルで講演します。(10/17)

・ITCイースト東京 のセミナーで「超高速開発」をテーマに講演します。
 (11/7) 

・(公財)全国中小企業取引振興協会にて、一般社団法人 ICT経営パート
  ナーズ協会の会員二人が講演します。(11/13)
  「新思考による情報システム構築事例 ~経営のデザインアプローチ~」
  「アジャイル開発によって開発コストをどこまで下げられるか」)

・IPAが企画している「先進的な設計・検証技術の適用事例報告」の2014年度
 版に、「ビジネスへの貢献が求められる時代のSLCP ~超高速開発ツールが
 もたらす方法論のイノベーション~(仮題)」をテーマに執筆することにな
 りました。(~12月)
 
なお、ICT経営パートナーズ協会が他の団体と連携して行うセミナーの最新
情報は、http://www.ictm-pa.jp/seminar-cからご覧いただけます。


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●ICT経営パートナーズ協会のビジネス推進

ICT経営パートナーズ協会では、個別企業向けのコンサルティング・ビジネス
も現在進行中です。

★amazonの”なか見検索”で、超高速開発が企業システムに革命を起こす の、
「さわり」をお読みいただけます。購入を迷われている方は、一度目を通され
てはいかがでしょうか。

★ICT経営パートナーズ協会のセミナー情報などをfacebookやTwitterなどでシ
ェアできるようにしました。


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●超高速開発分科会から設立した「超高速開発コミュニティ」の活動

・10/24(金曜)10月セミナー「 どこまでできる? テストの自動化」
  超高速開発という分野においても、テストの重要性は変わりません。
 スピード、効果的なテストの実施が品質を高めることに貢献します。テスト
 自動化によって何が変わるのか、活用にはどのようなスキルが求められるの
 か、などを議論しませんか。

 詳細・申し込みはhttp://www.x-rad.jp/まで


・11/26(水曜)シンポジウム&交流会
「超高速開発の導入を迷っている最後の理由 - 開発ツールの期待と課題」

 詳細・申し込みはhttp://www.x-rad.jp/まで


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