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一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 メルマガ (第108号)

    http://www.ictm-p.jp/

                          2022/12/21

 

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【目 次】

 

1.巻頭コラム 『開発手法の多様化に対応した品質管理手法の取り組みについて』

 

                   合同会社TAHARA

 

                        田原 秀夫

 

2.ニュース・お知らせ: 今号は有りません

 

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【巻頭コラム】

 

       『開発手法の多様化に対応した品質管理手法の取り組みについて』

 

                        合同会社TAHARA

 

                             田原 秀夫

 

ソフトウェア開発の品質管理の手法、定量的な品質指標としてテスト密度・バグ密度

を組み合わせて利用されているプロジェクトが多いかと思います。

しかし、昨今、開発方法が多様化し、特にローコードやノーコード等といったツール

はプログラムコード行数を用いた指標を利用するのは難しく、また、上限値・下限値

を定めた指標値での評価は、類似プロジェクト情報の入手が必要ですが、技術多様化

によって、類似事例を揃えるのが厳しい状況にあると考えています。

 

そこで、弊社が取り組んでいるコード行数を用いないテストフェーズにおいての品質

管理手法として観点カバレッジとDDPモニタリングという2つの分析技術を活用した

手法について紹介させて頂きます。

分析技術紹介の前にどの様な方向性でこの手法を使用するかですが、JISX0129-1にお

ける品質モデルの定義で、プロセス品質が内部品質、外部品質、利用時の品質に影響

を与え依存しているとされております。このことからプロセス品質を上げるためには

プロセスを改善していく事が重要であると考え、

その手段として、この手法を組み合わせ品質維持と開発速度を落とさない手法を目指

します。

 

【観点カバレッジとは】

観点カバレッジとは、テスト観点に対してテスト項目数、摘出バグ数を対応付けた表

の事を指します。

この観点カバレッジ表を用いることで、以下に示す事の確認及び活用ができます。

・テスト観点に対しての項目の有無、網羅性、偏りの確認

・摘出バグの偏り、観点漏れの確認

・異常値があった場合にテスト項目の妥当性や改善必要性の判断

 

また、より効果を高めるためにプロセス改善のモデルとして利用されるPDCAサイクル

にテスト工程を当てはめ、

「テスト観点検討(PLAN)」→「テスト設計、実施(Do)」→

「成果物確認、観点カバレッジ表作成(Check)」→「テスト設計プロセスの改善(AC

TION)」の形で回していく事でプロセスを改善しつつ品質を上げていきます。

 

【DDPモニタリングとは】

DDPとは、Defect Detection Percentage(欠陥摘出率)の略称で、テストプロセスの

バグ摘出能力を示し、すり抜けバグ(※1)が増えると値が下がる特徴を持っている品

質評価技術になります。

 

DDP算出方法

DDP = n / ( n + x )

n:評価対象のプロセスで検出できたバグ

x:評価対象のプロセスをすり抜けて検出されたバグ

 

DDPモニタリングとは、このDDPをグラフ等活用し、値の推移を観察していく事を指し

ます。

DDPの変遷を観察していく事で、極端に値が降下した場合等、異常のあるプロセスを

特定することができるので、異常検知のタイミングで改善策の検討・実行し品質改善

を行っていきます。

 

さらに、このモニタリングから改善までの流れをOODAループというモデルに当てはめ

「すり抜けバグの発生状況確認、DDPモニタリング(Observe)」→

「品質の低いプロジェクトの特定(Orient)」→「改善策の決定(Decide)」→「品質

改善の実施(ACTION)」の形で進める事で、発生した問題に対してより迅速な対応をし

ていきます。

 

また、品質の妥当性を判断する為の指標値としてDDPの評価閾値を予め定めておき、

その値をもって評価を行いプロセス品質の妥当性も併せて判断していきます。

例えば、

DDP閾値が長期間95%を超える場合:<改善検討>テストが狙い通りの効果を出せてい

ない可能性がある

85%以上95%以下の場合:<順調>テストが狙い通り効果を出せている

 

このように閾値を事前に設定します。

 

【分析技術を組み合わせた品質管理手法について】

組み合わせ方と実施タイミングについては、確認対象のプロセスにおいて、そのフェ

ーズ着手中は観点カバレッジ、以降フェーズではDDPモニタリングを用いる組み合わ

せ方で品質管理を行っていきます。

 

例えば、確認対象を単体テストとした場合、単体テスト中は観点カバレッジ、それ以

降のフェーズはDDPモニタリングを使用する形となり、フェーズは進むと確認対象も

増えていくこととなります。

 

また、従来の各フェーズ終了時に綿密に確認した上で次フェーズに移るのではなく、

各フェーズ完了後もモニタリングし、もし問題を見逃していたとしても以降フェーズ

で防ぐような方法をとり、確認に時間を掛け過ぎず開発作業をスムーズに進めること

も目指す手法になります。

 

 

今回、観点カバレッジとDDPモニタリングを用いたテストフェーズにおいての手法を

紹介させて頂きました。本手法は、どんな開発方法にも適用ができる事から、技術が

多様化する時代にあった品質管理手法だと考えます。

 

より詳しい内容につきましては、弊社までお問合せ下さい。

問い合わせ先:info@htahara.com

 

 

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