★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★ 一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会 メルマガ (第34号)      http://www.ictm-p.jp/          2016/10/19 ★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★…★ ◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆ 【目 次】 1.会長コラム『多重下請構造の限界』 2.特集記事 『情報洪水時代のITリテラシー:ビッグデータ利活用が 勝敗を分ける』 ドリームIT研究所 CEO 自治医科大学大学院 学外講師 木村 礼壮 3.ニュース・お知らせ  ・協会、分科会の活動報告 ・協会関連セミナー、その他ニュース ◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆ ☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆ 【会長コラム】『多重下請構造の限界』             一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会                       会長 関 隆明  現在のIT人材不足は想像以上に厳しい状況にあります。 ITベンダーにとってはSEフル稼働により、従来の人月ビジネスが順調になって 来たと思えるかもしれません。 しかし今年1月からスタートしたマイナンバー制度も、主たる大手SIerのコン ソーシアムによって開発されたカード受付システムの障害が原因で、カードの 交付が大幅に遅れた問題が発生し、来年から開始される各種手続き業務への影 響が心配されています。 金融業界を例にとると、システム統合と同時に新システムへの移行などで、 大手銀行のみならず、地方銀行の多くでもシステム障害が多発していると報告 されています。 障害の背景にはシステム開発に習熟した技術者の不足や、経費節減を理由に開 発の外注を増やした結果、システムを正確に運用できる内部人材が減っている という事情があるとも報告されています。 システム開発の非効率を生み、IT技術向上や人材育成にも弊害が多い多重下請 構造は無くすべきだと言われながら、いざとなるとこれに頼った要員調達や、 プロジェクト体制作りが続いています。 その根本原因はユーザ企業自体に余りにもIT人材が不足していることと、ウ オータフォール型スクラッチ開発への偏重が挙げられると思います。 IPAの調査によると、IT技術者のユーザ企業とITベンダーの所属人数比が、日 本が25%:75%と、ベンダー企業の人数が3倍になっているのに対 し、米国では72%:28%と全く逆の比率になっています。 これが米国ではシステム開発に於いて、ユーザー企業がしっかりイニシャテイ ブをとり、必要とする技術を持つ外部人材のみ主体性をもって選び、使いこな していける力を持っているのに較べ、日本ではベンダー依存の比重が高くなっ ている原因になっていると思います。 その結果日米のユーザ企業のアプリケーションの調達形態を比較すると、米国 ではパッケージソフト活用、自社開発及びベンダー委託がほぼ3分の1ずつで、 バランスが取れているのに対し、日本ではパッケージソフト活用が僅か数%、 自社開発が10数%に過ぎず、ベンダー委託が80%に達しています。 しかも開発法はスクラッチ型開発中心の為、手作りソフトの硬さから、運用に 入って後の修正、機能追加に多くの費用と期間が必要となっています。 その結果システム維持費が年間予算の70数%も掛かり、前向きなシステム開 発には20数%しか割けない状況に陥っています。これでは「攻めのIT経営」 への挑戦も覚束ないということになります。 当協会が超高速開発コミュニテイと一体となって、超高速開発ツールの活用を 強く推し進めているのは、まさにユーザ企業がこのジレンマから脱却するのを 助けたいと思っているからです。 急速な技術進歩によりIT調達方法は多様化して来ており、それらを受け身では なく、主体性をもって評価し、開発すべきソフトの特性に応じて最適な方法を 使い分ける力を持つことが、極めて重要になって来ていると思います。 自己流の仕事のやり方に過度に拘泥せず、経営的に見て効果的だと思われる パッケージソフトは積極的に活用すべきだと思います。そして自社固有のやり 方が必須な業務のみ個別開発することにし、その際もスクラッチ型開発よりも、 開発期間、工数、費用が平均で3分の1に削減出来、稼働後のソフト修正や機 能追加がはるかに柔軟かつスピーデイに行える超高速開発ツールを、徹底的に 活用して欲しいと願っています。 当初超高速開発の実用性に半信半疑だったユーザ企業やITベンダーも、良き成 果を挙げた実例が増えて来るにつれ、採用を検討する企業が急速に増えて来て います。 超高速開発コミュニテイの会員ベンダーを対象にした調査によると、4年前に 比べて、ライセンス出荷数及び導入企業数が、それぞれ2.3倍、及び1.7倍 となっています。導入企業も中堅中小企業のみならず、大企業にまで及ぶよう になって来ました。特にユーザ企業の活用意欲が一段と強まって来ていること に勇気づけられます。 プログラミング言語知識が不要で(一部初歩的な知識を必要とするツールもあ りますが)、日常使い慣れた業務用語とデータの知識でシステム開発に参加可 能な為、事業部門や管理スタッフの人達もITを特別視せず、IT部門と協力して システム開発に参加してもらえるようになると期待しています。 プログラミング作業の必要の無くなったIT人材は、システムの質を決定づける 上流工程の仕事に回って行き、手薄だった上流工程の体制強化が図られます。 そして自社に欠ける技術やノウハウを持つ専門家やIT人材のみ加えた、フラッ トな「オープンイノベーション型」のプロジェクト遂行体制を組み、ユーザ企 業自らイニシャテイブを取った、プロジェクト遂行が可能になると予想します。 更にIoT時代を迎え、イノベーションによる新価値創造型のシステム作りが 必要になればなるほど、他には無い、その場固有のソフトウエアの開発がます ます必要になるだろうと予想します。そして超高速開発の活用が一段と広まり、 リソースの無駄使いの多い、多重下請構造や人月商売が不要となって行くこ とを強く望んでいます。                                 以上 ☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆ 【特集記事】『情報洪水時代のITリテラシー:ビッグデータ利活用が 勝敗を分ける』 ドリームIT研究所 CEO 自治医科大学大学院 学外講師 木村 礼壮 この稿では、ビッグデータ時代の情報リテラシーとその活用による新規顧客獲 得方法について説明する。 インターネットが社会基盤になり、情報量が急速に増加する情報爆発という現 象が起こり、今後それが更に加速する。その大量情報を利活用できるかどうか が競争力を大きく左右する新しい情報利活用ルールの時代となった。 今回はネット上のCGM(Consumer Generated Media)の利活用法について述べ る。CGMとは、SNSやブログ、Webサイト等で個人が発信している情報であり、 クチコミと言っても良い。ネット上のクチコミは日本を動かすことも稀ではな い程メディアとしての地位を得ている。 待機児童問題の「日本死ね」等、枚挙にいとまがない。CGMの特徴としては具 体性が高く生の意見に近いので、世間の動向や潜在的なウォンツを容易にあぶ りだし、イノベーション創生や顧客満足度向上等々に利用できる。 例えば、新規サービスを開発したい旅行会社向けになら、旅行好きの人達がど んな望みや悩みを持っているかを発見したり、新規顧客開拓のためなら、興味 は持っているが行動していない人の理由を探ったり、ある地域が人を呼びたい なら、人が大勢来ている地域との評価の差とその理由を解析したりが即日で可 能だ。 CGMを利用するためには(1)情報を収集、(2)情報の整理整頓、(3)解 析、(4)結論の発信、という手順を追う。この(1)から(4)までの4項 目は情報爆時代の情報リテラシーとも呼ばれ、これからのコンサルタントの必 須スキルでもある。 (1)収集と(2)整理整頓は目的に合わせてクラウド等の安価なツールに 任せることが可能である。(3)解析では簡易的なBI機能を使用して目的に合 せた解析を行っていく。解析結果から様々な気付きを得ながら仮説・検証を繰 り返し、目的に対する結論を導き出す手順さえ理解していれば、高度な統計学 やBIの知識がなくともCGMの解析は可能だ。(4)発信では目的達成のために 発見した価値情報をグラフ等の分り易い表現で報告する。 CGM解析を行うには月額10数万円のクラウド費用と数日のトレーニングで充分 である。コンサルタントがこのような知見を備えていれば、企業に対して安価 に“攻めのIT経営”を実現する提案を増産できる。 ネット上のクチコミ情報を集めて自分の顧客候補の興味のある情報を解析し、 それをネタに簡単に顧客とのアポイントをとることもできる。例えば、顧客候 補のターゲット市場の「隠れたウォンツやニーズを解析したので説明させて欲 しい。」と言えば、会わない理由はないだろう。 解析対象のベスト3は、(1)市場の動向、(2)ベンチマーク企業が市場か ら支持されている理由の調査、(3)ブランドや商品の風評、である。そのよ うな解析を報告書の形で顧客に販売することも可能である。一部上場企業でも データサイエンティスト不足からそのような報告書が歓迎されているので報告 書の販売も可能だ。そのような形で信頼関係を築きながら顧客の問題点を解析 しつつ自身の本業の提案を行える環境を作ることができる。 提案のコツとしては顧客の顧客にどうしたら価値を与えられるかを示すことだ。 例えば、自動車部品メーカでは、ドライバの要求が分り、それを実現する部品 だと自動車会社に提案できればどうだろう。 是非、攻めのIT経営提案の道具として一考して欲しい。 ビッグデータ解析のスキルを修得したい方には以下の当協会主催の無料セミ ナーも開催されている。 ICT経営パートナーズ協会主催 ・ ITコーディネータ協会後援。 http://www.ictm-pa.jp/seminar/   以上 ☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆ 【ニュース・お知らせ】 ●ICT経営パートナーズ協会主催セミナーご案内                ITコーディネータ協会後援  『独立系コンサルタント向け ビッグデータ活用演習セミナー』         (優良顧客から顧問契約を獲得するパターンを修得)  ・料 金: 無料  ・対 象: 中小企業診断士、ITC、及び 士業の方々等独立系コンサルタントの方々。  ・日 程:2016 年 11月 16日 水曜日 14:00〜16:00  ・会 場:中央区日本橋公会堂 3号洋室  ・定 員:35名   詳細と申し込みはこちらからお願いします。      http://www.dream-biz.jp/cloud/seminar2016Jun.html 【セミナー概要】  起業後の営業成果の悩みを解消、ビッグデータ解析を利用して、顧客に価値  ある情報を提供しながら、契約を獲得する手法を解説。 経営陣とのアポ取  り、ファースト契約、顧問契約へと導く手順をパターン化しました。実証成  果を含めて解説します。  実験として、この手法を用いて解析スキルが全くない人間が1カ月に3件の  顧客を訪問し、2件の年間契 約(200万円/件)を受注しました。その後に  顧問契約、プロジェクト案件に導く手法を合せて解説します。  『ビッグデータアナリスト養成講座』 ・料 金: 70,000円(税抜)  ・対 象: 中小企業診断士、ITC、及び 士業の方々等独立系コンサルタントの方々。 パソコンでパワーポイント資料作成等基本的操作ができる方。  ・日 程:2016 年 11 月 25 日 金曜日 10:00〜17:00  ・会 場:中央区日本橋公会堂  ・定 員:10名   詳細と申し込みはこちらからお願いします。      http://www.dream-biz.jp/cloud/seminar_houkokusho.html 【セミナー概要】 ネット上のビッグデータを活用して企業に価値ある情報を提供できる ビッグデータアナリストを1日で養成する講座です。 ”市場動向”、”競合分析”、”風評調査”等の経営者が求める 情報を自在にレポート化して提案型の顧客企業の開拓ができ、 更に顧問契約が獲得できる方法をお伝えします。 ご興味のある方は、まず、上記の無料セミナーから受講をされることを お勧めします。 ●当協会の連携団体である一般社団法人アドバンスト・ビジネス協会(ABC  協会)が、システム開発トラブルの駆け込み寺となる「システム・トラブル  相談センター」を開設しました。詳細は、下記をご覧ください。  ABC協会→http://www.abc-a.jp/ ================================================================= ☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆ 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 ご意見・ご質問等は事務局info@ictm-p.jpまでよろしくお願い致します。 なお、メルマガのバックナンバーは協会HP http://www.ictm-p.jp/ にてご覧いただく事ができます。 ☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆ 発行元  発行:一般社団法人 ICT経営パートナーズ協会  編集:赤松 元  MAIL:info@ictm-p.jp(事務局)  URL :http://www.ictm-p.jp/ ☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆ Copyright 2014-2016 ICTM Partners Association All Rights Reserved. ※本メールマガジンの記事について、無断転載はご遠慮ください。 ※メール転送は自由ですが、記事内容を一切、加筆・編集または抜粋せずに ご利用願います。 ☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆